2009年10月10日土曜日

合意形成ツールとしての建築

去る8日、建築夜楽校第2夜行ってきました。
第2夜は「プロセスとローカリティーの関係について考える」というテーマ。
プレゼンテーションやディスカッションの内容についてはTwitterのハッシュタグ#yagakkouでの実況や、他BLOGなどで追って頂けると思うので割愛して、僕自身の感想を書きたいと思う。

僕が一番印象に残っている論点は、鈴木さんが繰り返し言っていたこと。
ステイクホルダーが膨大な量、例えば1万人とかの規模になってきたときに、家成さん、井出さんがプレゼンテーションしたようなプロセスが上手く機能するかという点である。
複数人(最低でも事務所の3人)が、互いに互いの設計を参照・改変・編集しあう家成さんの超並列プロセスや、その各ヴァージョンのデータの扱い方をタグとして残し、その履歴を面的に検索して設計を行う井出さんのプロセス。
これらの方法はクライアントや関係者が比較的少人数な場合上手く機能するけども、公共施設のような大人数では機能するか否かということだ。

この点に関しては、古谷さんの言っていた話に答えがあるように思う。
一種日本的な合意形成の話として、村である合意形成をしようとした際に、3日間老人たちがああでもないこうでもないと言い合って、4日目にじゃあ言いたいことは大体言ったし後は村長に任せよう、という風になるという話をしていた。
あるプロセスを経ることで、共同体における合意形成が何となくできてしまう。
その合意が正しいかとか、合理的かはあまり問題でなくて、共同の幻想が抱けるかどうか。
それは、プロセス自体に合意できるか、ということの方が結果よりも大きいのだと思う。
自分の意見がある程度反映されそうなプロセスで、議論や検討が尽くされたのなら、まあ、結果できたものが100%満足いかなくてもいいか、というのが合意形成だと思う。

ステイクホルダーが膨大な数になったとき実際意見が反映されるのは、膨大な母数から抽出された代表になってしまうのが今の現実だ。
そこに対して、情報技術が関わっていく事は有効だと思う。
それは、第1夜に小嶋さんが言っていた、沢山の矢印を単純化しないで、複雑なままに扱うということなのかもしれない。
ステイクホルダーの発する意見を情報技術によって掬い取って、使える限りの手段(BIM、模型、スケッチetc...)でシミュレートして、その際にどのデータを採用したか・しなかったかを明示して(タグと履歴)、更にバージョン違いでシミュレートして…を繰り返すことで徐々に合意を形成していく。
そのプロセスの開発・実装と運用を建築家が行う。
プロセスが仮に全く同じでも、データによって固有性が必ず発生する。
それはローカリティーといえると思う。

データはステイクホルダーの発する意見だけではなく、その場所の状況(五十嵐さんの言う気候・風・雨・雪・可能な施工技術などや中山さんの言うクローバー)も当然含まれる。
それら、膨大な変数をどのようなプロセスで合意させていくか。
現状では確かに、扱うべきデータ量や変数が、ある量を超えるとプロセスは上手く働かないとは思う。
そこには、アナロジーとしてでなく、情報技術の実装が不可欠だとは思う。

このことは結局、空間性の話とかに結びつかないとか反撃されそうだが、そんなことはない。
もし、か豊かな空間性のイメージが自分の中にあるのなら、如何にそれを実現できそうなプロセスを作り得るかを考えればよい。プロセスが空間よりも重要だとか、その逆だとかという話ではない。


長々と書いた割りに、まとまっていませんが、2夜分を聴き終えての感想です。
これから社会に出て行く身としては、じゃあ自分はどう振舞っていくべきかということになってしまうのですが。
夜楽校と言うだけあって、本当に勉強になりました。
数年~10数年の間に勉強させられるだけでなく、一緒に議論ができるようになっていたいとひしひしと感じる2晩でした。

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